五月晴さつきば)” の例文
胡粉絵ごふんえの色をした五月晴さつきばれの空が横たわって、その下を吹く明るい風が、目下工事中の解放治療場の作業の音を、次から次に吹込んで参ります。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
港から吹いて来るしめっぽい東風が、二階の窓から、石炭のすすくさいにおいを送りこむ。五月に入ってからも、雨模様の日が続き、なかなか五月晴さつきばれの青空があらわれない。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
白い雲の山にかかる時は、かえって五月晴さつきばれの空の色をあざやかにします。
五月晴さつきばれの拔けるやうな良い天氣です。
静かに眼をらして、窓の外一パイに輝いている五月晴さつきばれの空を飽かず飽かず眺めているようであったが、やがて何事かを思い出したらしく、その大きな眼に涙を一パイに浮き出させた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)