五坪いつつぼ)” の例文
僕は庭を見廻した。庭という名のもったいなく聞こえる縁先は五坪いつつぼにも足りなかった。すみ無花果いちじくが一本あって、なまぐさい空気の中に、青い葉を少しばかり茂らしていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もつと五坪いつつぼには過ぎざる庭なり。
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
芝生は南に走る事十間余にして、高樫たかがしの生垣に尽くる。幅は半ばに足らぬ。しげき植込にさえぎられた奥は、五坪いつつぼほどの池を隔てて、張出はりだしの新座敷には藤尾の机が据えてある。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)