二言目ふたことめ)” の例文
老人たちが二言目ふたことめにはよく言う昔の人の元気と勇気、それは多くの場合にはこの腕力の自信であった。もう一つ以前には力は信仰であった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二言目ふたことめにはお金がかかるお金がかかると云ひ、藝術の作品を金錢に計量しなくては承知しない母親の態度にもあきたらず、こんな迷惑な地位に自分をおとしい
二言目ふたことめには食えれば食えればとおっしゃるが、今こそ、どうにかこうにかして行きますけれども、このぶんで押して行けば今に食べられなくなりますよ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『阿父さんの事だから何を為さるか知れ無い。むかしから二言目ふたことめには人民の為だもの。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
二言目ふたことめには大きな声を出して怒鳴るし。音楽に趣味なんて、とんでもない大嘘だわ。
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
さうしてひとりで利巧ぶつて、可恐おつそろしい意気がりで、二言目ふたことめには金々と、金の事さへ言へば人は難有ありがたがるものかと思つて、俺がかうとおもや千円出すとか、ここへ一万円積んだらどうするとか
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)