中途半端ちゅうとはんぱ)” の例文
だれがあんな自我の無い手合いと一しょになるものか、自分にはあんな中途半端ちゅうとはんぱな交際振りは出来ない。征服せいふく征服かだ。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
うんと大きくやしきを構えるか、さもなければどんなわびしい住居にもじっと我慢するか、どちらにしても中途半端ちゅうとはんぱなことが出来ないようなところから
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかし非人でもなく、エタでもなく、さりとて普通民でもなく、中途半端ちゅうとはんぱのままで永く後に遺るというのは、彼らが通例の場合に於いて与えられた運命であった。
爺さんが北海道に帰ってからよこした第一の手紙は、十三行の罫紙けいし蠅頭じょうとうの細字で認めた長文の手紙で、農とも読書子ともつかぬ中途半端ちゅうとはんぱな彼の生活を手強く攻撃したものであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
こんなふうで、かれは現在までに、第一回目の中途半端ちゅうとはんぱな体験までを合わせると、すでに九回の塾生活を送って来ており、間もなく、その第十回目の生活にはいろうとしているのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
などいう御中間ごちゅうげん中間ちゅうげん中間男ちゅうげんおとこ中間法師ちゅうげんほうし中間ちゅうげんは、ハシタというと同じく、間人すなわち中途半端ちゅうとはんぱなるものの義に外ならぬ。それが転じて下品なもの、下司な男という義に用いられたのである。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)