中旬なかごろ)” の例文
与右衛門はそれでも女房のことを心配していたが、それは寛文かんぶん十一年すなわちおきくが十三の八月まで生きてその月の中旬なかごろに死んだ。
累物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
榊原式部は前の月の中旬なかごろ、九段の中坂へお所がえになって、あの屋敷はいま空家になっていることをご存じですか
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
とすると——五月の中旬なかごろになりますな。じゃ、まだだいぶ間があるから、それまでに、お米の奴を
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実は先々月の中旬なかごろでござりました、夜更よふけにお茶の水橋を通りまして、品格ひんい、美麗うつくしい、お年紀としの若い御婦人が身を投げようと遊ばす処をあやうくお止め申したのが、もし、御隠居様
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)