中剃なかぞり)” の例文
中剃なかぞりをひろくあけたつっこみにゆい、陸尺半纒にひやめし草履。どう見ても腹っからのお陸尺。
眼いろを変えて、伊織は往来へ飛び出した、——そして西を見、東を見、空をながめて、ぽろぽろ泣き出した様子に、中剃なかぞり禿はげくしの歯で掻きながら、お内儀かみはケタケタ笑った。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お銀様はあきれて見ていました。お君はやはり呆れたけれど、これはただ見ているわけにはゆきません。そこへ来たのは十歳ばかりの男の子であります。中剃なかぞりを入れないで髪をがっそうにしていました。