不覚つい)” の例文
旧字:不覺
占めたと思って竿を揚げる拍子に、余り前へ乗出したもので、不覚つい川の中へ踣込のめりこんで了った。決して落ちたくて落ちたんじゃない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
其中そのうちにお腹もくちくなり、親の肌で身体もあたたまって、とろけそうない心持になり、不覚つい昏々うとうととなると、くくんだ乳首が抜けそうになる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
などゝいふのが口切りで、最後はて不覚つい深入して
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
と、私も何だか観せてやりたくなって、芝居だって観ように由っては幾何いくら掛るもんかと、不覚つい口を滑らせると、お糸さんがいつになく大層喜んだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
とぶっきらぼうの私も雪江さんだけには言いつけぬお世辞も不覚つい出て、机の上の毛糸のランプじきそっとランプを載せると
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)