上野介こうずけのすけ)” の例文
上野介こうずけのすけは、無意識に、冷えた茶をふくんだのに気がついた。吐き出したかったが、吐き出すかわりに、ごくりと飲み下して眉根を寄せた。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
上野介こうずけのすけの首なんか、千坂殿だって、いつかはと、覚悟はしている。ただ……上杉家の立場が……ただそれだけだ。討て、はやく、人の来ないうちに
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初めて吉良上野介こうずけのすけの甥の津軽采女正が、『河羨録』といふ釣りの本を書き、次で黒田如柳にょりゅうの『釣客伝』が出たくらゐで、あとは黄表紙ものの材料として
日本の釣技 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
御三男忠輝公ただてるこうを御養子に送ってこれを相続せしめ、長沢の郷二千三百石をその知行所に当てた上、これを上野介こうずけのすけに任官せしめて、特に格式三万石の恩典を与えました。
「——先手さきての武田逍遥軒どの初め、一条右衛門大夫どの、武田上野介こうずけのすけどのにいたるまで、夜来、各所の御陣地を捨て去り、いずことも知れず退かれて候う」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小幡、内藤、山県やまがたなどの譜代ふだいをはじめ、逍遥軒しょうようけん孫六、伊奈四郎勝頼かつより、武田上野介こうずけのすけなどいう一族にいたるまで、およそきょうの軍議に列した者は、くびすをついで帰って行った。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
予期していたもののように、上野介こうずけのすけは、眼鏡をはずして
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ようも、上野介こうずけのすけ様を、斬りくさったの』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曾我上野介こうずけのすけ師資もろすけ
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)