上月こうづき)” の例文
ちょうど土間の中ほどに陣どって見物をしていた信州川中島の上月こうづきというのが、連れて来た十余人ばかりの百姓の驚き騒ぐのをしずめて言うには
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鹿之介たちのたてこもっていた前衛基地上月こうづきの城に、秀吉の救援をとどめ、みすみすそれを敵中へ捨児すてごとしてしまった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両雄が語り合っているところへ、敵の一城、上月こうづき背後はいごには、毛利家の尻押しによる浮田和泉守の手勢がだいぶいるらしい、という情報が入って来た。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殊に上月こうづき城も陥ちて、吉川、小早川の大軍が本国へ引きあげてから後の宇喜多家には、濃厚にそれがてとれた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして上月こうづき城は敵手にゆだね、残る唯一なるもの——すなわち主君尼子勝久の首級しるしまで、敵に捧げてしまった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上月こうづきを去って、いったんは、その方向を但馬たじまへとって進むかのように思われたが——急に、播州ばんしゅう加古川かこがわ迂回うかいして出て、ここで織田信忠の軍三万と合した。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この期間に、播磨はりま備前びぜんの国境の捨児、尼子一族のっていた上月こうづき城は、必然な運命に委されて落城した。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「毛利の大軍が、上月こうづき城を取りつつんだ」との飛報が、書写山へ入った。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)