三抱みかか)” の例文
あの土手の上に二抱ふたかかえ三抱みかかえもあろうという大木が、何本となく並んで、その隙間すきま隙間をまた大きな竹藪でふさいでいたのだから、日の目を拝む時間と云ったら
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何でも豊楽院ぶらくゐんの古狐は、女に化けると云ふ事だが、きつとあの狐に化かされたのは、こんな気がするのに違ひない。同じ狐でも奈良坂の狐は、三抱みかかへもあらうと云ふ杉の木に化ける。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それで、どこかかくれるところはないかとおもって見回みまわしますと、おやしろのじきわきに、三抱みかかえもあるような大きなすぎの木がありました。その中はちょうどひと一人ひとりはいれるくらいのうつろになっていました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)