一顆ひとつぶ)” の例文
それは、初夏のイタリーの空よりもあおく、夕空にかかる、この節の金星よりも輝やかしい、名も知れぬ一顆ひとつぶの宝石なのです。
呪の金剛石 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お庄は銀貨を一顆ひとつぶ紙にひねって、傍に出してあった三方さんぽうの上に置いて、そこを出て来た。出る時、俥で乗り着けて来た一人の貴婦人に行き逢った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「——これは甘そうですね」曲者は、桜の一顆ひとつぶを口にいれて、ぽつりと噛んだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)