一篇いっぺん)” の例文
しかし三重吉氏は、『赤い鳥』で単に文芸方面の仕事だけをのこしたのではなくて、あの中には、毎月一篇いっぺんずつ児童向きの科学教育の文章がのっていたのである。
「茶碗の湯」のことなど (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
その点から言って、この一篇いっぺんは、全体として、やはり次郎の生活記録であるにはちがいないのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
が、われ等の受持にかかる霊的通信は、恐らく彼等にとりて一篇いっぺんの夢物語に過ぎないであろう。
一篇いっぺんの構成あやまたず、適度の滑稽こっけい、読者の眼のうらを焼く悲哀、しくは、粛然、所謂いわゆるえりを正さしめ、完璧かんぺきのお小説、朗々音読すれば、これすなわち、スクリンの説明か、はずかしくって
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)