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一碧
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いっぺき
哨兵たちが雑談していた。雲もない
一碧の空に、かさなり合っている山々の
秋色、その裾に見える湖の明るさ、ふとすると、
禽の
音に、
欠伸を誘われそうだった。
と
謂い棄てつ、おもむろに歩を移して浜辺に到れば、
一碧千里
烟帆山に映じて
縹渺画のごとし。
海は実に
凪げるなり。近午の空は天心にいたるまで
蒼々と晴れて雲なく、
一碧の海は
所々練れるように白く光りて、見渡す限り目に立つ
襞だにもなし。海も山も春日を浴びて
悠々として眠れるなり。