一堆いったい)” の例文
稲荷のほこらも垣根も雪に隈取くまどられ、ふだんの紅殻べんがらいろは、河岸の黒まった倉庫に対し、緋縅ひおどしのよろいが投出されたような、鮮やかな一堆いったいに見える。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
オルカニヤの作といい伝えている画に、死の神が老若男女、あらゆる種々の人を捕え来りて、帝王も乞食もみな一堆いったいの中に積み重ねているのがある、栄辱えいじょく得失もここに至っては一場の夢に過ぎない。
我が子の死 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)