一冊いっさつ)” の例文
旧字:一册
いつも何か本を一冊いっさつ——たとえばカイダノーフの万国史通ばんこくしつうなど——を持って出るのだったが、それをめくってみることはめったになく、とてもたくさんそらで覚えていた詩を
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
お金が小やかましいので、日用品以外の物と云ったら、自分の銭で買う身のまわりの物まで遠慮しなければならない中を、恭二がお君のために買って来てくれたたった一冊いっさつの雑誌である。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「それやアこのほうがおもしろいよ。日本外史とは物がちがう。昨夜ゆうべ僕は梅田先生の処から借りてきてから読みはじめたけれどおもしろうて止められない。僕はどうしても一冊いっさつ買うのだ」といってうれしくってたまらない風であった。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)