“やどかり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
宿借35.7%
寄居虫21.4%
寄生蟹21.4%
寄居蟹7.1%
寄居貝7.1%
寄生貝7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「わしか。……わしは近年、洛中では吉田の神護院に宿借やどかりいたしておるので、吉田のすね法師だの、吉田の兼好けんこうなどとよばれておるが、それでは、思い出されもなされまい」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日の夕方思い付いて字引でみのむしというのを引いてみると、この虫の別名として「木螺ぼくら」というのがあった。なるほど這って行く様子はいかにも田螺たにしかあるいは寄居虫やどかりに似ている。
小さな出来事 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それは雲のやうなひとつの心像 さびしい寄生蟹やどかりの幽靈ですよ。
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
そこにはたくさん寄居蟹やどかりの子がゐて、ちよいとみればただの貝殻みたいにみえるがすこしたつと手をだしてひよこひよこ歩きまはる。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
最初にニライスクからアマンすなわち寄居貝やどかりが飛び出し、その次に人間の男女が出てきたというなども、洞窟どうくつか自然の割れ目かは知らぬが、とにかくに大地の続きであって
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
玩具箱! 彼は実際神のように海と云う世界を玩具にした。かに寄生貝やどかりまばゆい干潟ひがた右往左往うおうざおうに歩いている。浪は今彼の前へ一ふさの海草を運んで来た。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)