寄居虫やどかり)” の例文
寄居虫やどかりで釣る小鰒こふぐほどには、こんな伯父さんに馴染なじみのない、人馴れぬ里の児は、目を光らすのみ、返事はしないが、年紀上としうえなのが、の手を止めつつ、けろりで、合点の目色めつきをする。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その日の夕方思い付いて字引でみのむしというのを引いてみると、この虫の別名として「木螺ぼくら」というのがあった。なるほど這って行く様子はいかにも田螺たにしかあるいは寄居虫やどかりに似ている。
小さな出来事 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そのいきおいにすっかりおびえて、子供達は干潟ひがた寄居虫やどかりのようにあわてて逃出した。
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)