“むせかえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
噎返60.0%
咽返40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
文三も暫らくは鼻をもつぶしていたれ、ついには余りのけぶさに堪え兼て噎返むせかえる胸を押鎮おししずめかねた事も有ッたが、イヤイヤこれも自分が不甲斐ふがいないからだと、思い返してジット辛抱。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
掻いくぐった右近、床の間のくぼみにけ上って、ここに初めて、豪剣を正眼に構える——鋼鉄に似た血のにおいで咽返むせかえりそうな室内に、五人の剣陣が、床の間の前に半月形はんげつがたに展開した。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
屑屋はまた貴婦人を捕えて罵詈讒謗ばりざんぼう、「あ、あにおい咽返むせかえるようだ。」と鼻を突出してうそうそとぎ、「へん、むせも返るが呆れも返らあ、阿蘭陀オランダの金魚じゃねえが、香水の中で泳いでやあがる。 ...
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)