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どうがね
と云う声は
谺に響きます、
後の
三峰堂の中に
雨止をしていた
行脚の
旅僧、今一人は供と見えて
菅の深い
三度笠に廻し合羽で、
柄前へ皮を巻いて、
鉄拵えの
胴金に手を掛け
武「金がなければ気の毒だが
帯して居る
胴金から煙草入から身ぐるみ脱いで行って貰い
度い」
武蔵の杖にも、のべ
鉄がかくしてあったし、後先には、
銅金が付いていた。そして紙捻で作った緒を通して
腕貫としていたそうである。
飴細工の狸みた様で、取廻しの処へ
銀拵えの
銅金の刀を
帯し白地の手拭で
向鉢巻をして
飛下りると、ズーンと地響きがする、腕なぞは松の
樹の様で腹を立ったから力は満ちて居る