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ちゆうぐう
滿座の人々感に堪へざるはなく、
中宮よりは殊に女房を使に
纏頭の
御衣を懸けられければ、二人は
面目身に餘りて
退り出でぬ。
誰れ見ねども膝も
崩さず、時々鬢のほつれに
小波を打たせて、吐く息の深げなるに、哀れは
此處にも漏れずと見ゆ。主は
誰ぞ、是れぞ
中宮が曹司横笛なる。
時の
帝の
中宮、後に建禮門院と申せしは、入道が第四の
女なりしかば、此夜の盛宴に漏れ給はず、
册ける
女房曹司は皆々晴の衣裳に奇羅を競ひ、
六宮の
粉黛何れ劣らず
粧を
凝らして