“ちせつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
稚拙88.2%
穉拙11.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まったく、現代いまで申せば、民芸とでもいうのでしょうか。稚拙ちせつがおもしろみの木彫りとしか、素人しろうとの眼にうつらない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あとでみた、写真には、ハアト形のなかに、おすましな田舎いなか女学校の三年生がいて、おまけに稚拙ちせつなサインがしてあるのが、いかにも可愛かわいく、ほほ笑んでしまった。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
穉拙ちせつな句である。春雨の夕方、庭先か軒端のきばかに来て雀が啼き交している。それが何羽いるか、数を算えて見たというに過ぎない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
ほかの人々の歌に比して、技巧の足りない穉拙ちせつのようなところがあって、何時いつか私の心をいたものだが、今読んで見ても幾分象徴詩的なところがあっておもしろい。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「夕立くさき」の一語は穉拙ちせつだけれども、ちょっと他に換うべき言葉が見当らない、穉拙なりにその感じを道破どうはしている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
それを、「吹く毎に」で融合させているので、穉拙ちせつなところに、却って古調の面目があらわれて居る。特に、「阿太の大野の萩が花散る」の、諧調音はいうに云われぬものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)