穉拙ちせつ)” の例文
穉拙ちせつな句である。春雨の夕方、庭先か軒端のきばかに来て雀が啼き交している。それが何羽いるか、数を算えて見たというに過ぎない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
ほかの人々の歌に比して、技巧の足りない穉拙ちせつのようなところがあって、何時いつか私の心をいたものだが、今読んで見ても幾分象徴詩的なところがあっておもしろい。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「夕立くさき」の一語は穉拙ちせつだけれども、ちょっと他に換うべき言葉が見当らない、穉拙なりにその感じを道破どうはしている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
それを、「吹く毎に」で融合させているので、穉拙ちせつなところに、却って古調の面目があらわれて居る。特に、「阿太の大野の萩が花散る」の、諧調音はいうに云われぬものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そして此程度の歌ならば、他の巻には幾らもあると思うが、当時既に古歌として取扱った歌として、また、第二句「海にいでたる」の句の穉拙ちせつ愛すべき特色とを以て選出して置いた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)