“あさぢ”の漢字の書き方と例文
語句割合
浅茅100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
稀に残る家は門前草深くして庭上露しげし、よもぎそま浅茅あさぢはら、鳥のふしどと荒れはてて、虫の声々うらみつつ、黄菊紫蘭の野辺とぞなりにける、いま、故郷の名残りとては
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
荻原は隣家りんかおきなに注意せられて万寿寺に往ってみると浴室の後ろに魂屋たまやがあって、かんの前に二階堂左衛門尉政宣の息女弥子吟松院冷月居尼ぎんしょういんれいげつきょにとし、そばに古き伽婢子とぎぼうこがあって浅茅あさぢと云う名を書き
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ゆうがた、浅茅あさぢはらのあたりだの、ついじのくずれから菜畑などの見えたりしている高畑たかばたけの裏の小径こみちだのをさまよいながら、きのうから念頭を去らなくなった物語の女のうえを考えつづけていた。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)