“飜”のいろいろな読み方と例文
新字:
読み方割合
ひるがえ36.1%
ひるがへ16.1%
ひるが10.4%
こぼ9.8%
かへ8.5%
かえ6.0%
ウツ2.2%
1.9%
ひら0.9%
カヘ0.9%
めく0.6%
あふ0.6%
うつ0.6%
0.6%
0.6%
ひる0.6%
ひつくりか0.3%
あふり0.3%
あお0.3%
あほ0.3%
かへせ0.3%
かわ0.3%
なお0.3%
ひらめ0.3%
ひるがえっ0.3%
ひるがへつ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
けんの余の空間を辷って巻き附くその全く目にも留らぬ廻転と移動とを以てして、いささかの裂けも破けも、傷つきもひるがえりもしないことだ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
其錦旗をひるがへして東海道に下向し、山の如き関東の勢を物の数とせざりしが如き議政官に上局下局を設けて公議輿論を政治の標準とし
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
という風の問答を交しながら、どうかしてこの昂奮した、善良な、そしていっこくそうな青年の思い立ちをひるがえさせようと私は努めた。
青年僧と叡山の老爺 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
どうかすると女は読み掛けた本の上に俯伏うつぶしになって居眠りをしている。額からほつれてこぼれ掛かった髪が、本の上に渦を巻いている。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
雀の子が遽しく羽をかへして飛び廻った。柘榴の樹の立ってるあたりに黄ろい蜻蛉がいくつとなく群を成して、風に吹き流されて居た。
奥間巡査 (新字旧仮名) / 池宮城積宝(著)
そういって、その瓶を目よりも高く差し上げると、また飛び跳ねる馴鹿トナカイの仔のように活溌に走り出した。素足の裏が白く白くかえった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
又目前に橋本左内等の事を見聞きして来てゐるのである。たとひ之を町人の感情にウツして見ても、相応な衝動であつたに違ひない。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
私はよく汗のついた手首に、その繪の女王や昆虫の彩色をかゆいほど押しては貼り、はがしてはそつと貼りつけて、水路の小舟に伊蘇普いそつぷ物語のあやしい頁をへした。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひらめく暖簾のれんに招きの声、ゾロゾロ通る人の足音、それに加えて三味線の音、太鼓の音などもきこえてくる。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
珍しい發見をしたやうに、彼は馬から身をカヘしておりた。二人の資人はすぐ、馳け寄つて手綱を控へた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
「それはサラダをしぼりましたので。」一帖の半紙を一枚めくると矢つ張り下にも俺の真紅な顔が泣つ面をしてゐる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そのころもは、今えいでし若葉のごとく縁なりき、縁の羽に打たれあふられて彼等の後方うしろに曳かれたり 二八—三〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
普通われ/\の古代・王朝など言うて居る時代のまれびとなる語が、今日の「お客」或は敬意を含んで、「賓客」など言ふ語にうつして、果してかつきりとあてはまるであらうか。
まれびとの歴史 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
私は路々に白いものがぼれているのを、注意して見たが、それは蝶のはねの粉が、草に触れ木になすられて、散ったように、よどんでいるのであるが、よく見ると例の灰である
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
暴風降雪の過ぎ去った跡でさえなお雪を持て来る雲か、ただしは暴風を追う雲かは知らぬが、まばらに飛んで居るその下にごく細かな雪が煙のようにんで居ます。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ええ、と吃驚びっくり身をひるがえして、おもて遁出にげだし雲を霞、遁がすものかと銀平は門口まで追懸け出で、前途ゆくてを見渡し独言ひとりごと
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
危くないと見極めて戻つて居た、ひつくりかへり帽子しやつぽの先生は、口の角を引下げて、頭を掉ると、一同が同じ様に頭を掉りました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
風のあふり蒸暑むしあつく、呼吸いき出入でいりも苦しいと……ひとしほマノンの戀しさに、ほつと溜息ためいきついた……風のあふり蒸暑むしあつく、踏まれた花のが高い……見渡せば、入日いりひはなやぐポン・ヌウフ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
小川町辺をがはまちへん御邸おやしきまへ通行つうかうすると、御門ごもん潜戸くゞりど西にしうち貼札はりふださがつてあつて、筆太ふでぶとに「此内このうち汁粉しるこあり」としたゝめてあり、ヒラリ/\と風であほつてつたから
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あふぎかへせし舞姫と——
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
ひょいとかわした身の軽さ。フワリと一つ団扇うちわあお
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
日本になおして、地名も人名も、日本の事に致しましただけで、ぜん以てお断りを申さんでは解りませんから、申し上げまするが、アレキサンドルを石井山いしいさんろうという侠客おとこだてにして、此の石井山三郎は
隅棚すみだなの枕時計ははた秒刻チクタクを忘れぬ。ますます静に、益す明かなるねやの内には、むなしともむなしき時の移るともなく移るのみなりしが、たちまち差入る鳥影の軒端のきばに近く、したる宮が肩頭かたさき打連うちつらなりてひらめきつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この記事からひるがえっ向島むこうじまと江戸文学との関係を見ると、江戸の人は時代からいえば巴里人よりももっと早くから郊外の佳景に心附いていたのだ。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
えず海岸かいがん一方いつぽう岬頭みさきひるがへつるが、さて熟々つら/\かんがへるに、大佐等たいさらこのしま上陸じやうりくしたそも/\の目的もくてきは、秘密ひみつなる海底戰鬪艇かいていせんとうてい製造せいぞうするがためで、てい竣成しゆんせいとも