ウツ)” の例文
新字:
又目前に橋本左内等の事を見聞きして来てゐるのである。たとひ之を町人の感情にウツして見ても、相応な衝動であつたに違ひない。
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
第一、海及び海の彼方アナタの国土に対する信仰は、すべて、はる/″\と続く青空、及びその天に接するヤマの嶺にウツして考へられて行く様になつた。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
大魚オフヲ(?)なる鮪或は、誰なる人(即誰人)と言ふ風に今の語にウツして言ふことが出来る。もつと簡単に、大魚鮪・誰人と言うて、尚よいところだ。
まじなふは、近代風の語にウツすと、悪魔の氏子となることである。まじものを外に使ふ者があつて、自分が悪い結果を受けた時即、まじこると言ふのである。
まじなひの一方面 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
吉野川を中心に固定したツミに化生して漁師を誘うた吉志美キシミヶ嶽の神女の外にも、駢儷体の文章にウツされたらうが、男神が人間の女に通ふ型のとりわけ我国に多い言語伝承の例は
相聞の発達 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
一つとして「産る」とウツさねば不都合だと言ふ場合には、出くはさずにすんだ。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
日本の国語にウツアトづけて行つた詩のことばことばが、らんぼおやぼおどれいるや、さう謂つた人の育つて来、又人々の特殊化して行つたそれ/″\の国語の陰影を吸収して行かないのである。
詩語としての日本語 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)