鋭利えいり)” の例文
その鋭利えいりなる三尖衝角さんせんしやうかくそらきらめ電光いなづまごと賊船ぞくせん右舷うげん霹靂萬雷へきれきばんらいひゞきあり、極惡無道ごくあくむだう海蛇丸かいだまるつひ水煙すいゑんげて海底かいていぼつつた。
彼の宗教心は飽くまで強いのであるが、しかし在来の神学的ドグマは、到底彼の鋭利えいり直截ちょくさいなる研究的良心を充たすに足りなくなったのであった。
その鋭利えいりな調子は返答を許さなかった。冷たい沈黙がきた。彼らは歩きつづけた。二人の老人は顔をも見合わしかねた。
と、小文治が乗りつけてみると、ひとりの怪人かいじん、蔦之助をみふせて鋭利えいりな短刀をその胸板むないたきとおそうとしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うすひらたいもの、さき鋭利えいりとがつたものなども出來できてきたのです。これをムスチェーのものといつてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
總説 石片に鋭利えいりなる刄を設くるに二はふ有り。一は打ちき或は壓し缺くはふにして、斯くしてつくりたる石噐せききことは前項に記したり。他の一はふは研ぎ磨くはふなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
鋭利えいりなきりで物をとおす、もちろん相当な力を要するけれども、とおらぬ懸念はない。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ことに学者中には頭脳ずのうの透明鋭利えいりな者にして肉体のこれに伴わぬものがたくさんある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
もはや、鋭利えいりきりの先をもってまぶたかれても、まばたきをせぬまでになっていた。不意にが目に飛入ろうとも、目の前に突然とつぜん灰神楽はいかぐらが立とうとも、彼は決して目をパチつかせない。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ガラツ八はごくりと固唾かたづを呑みました。丈吉が氣でも違つて居ない限り、丈夫な繩も、鋭利えいりな庖丁も捨てゝ、一番無氣味な、一番不確實な、疊針で死ぬ氣になつた心持が呑込めなかつたのです。
その愈々いよいよ鋭利えいりなるほど、愈々公明に我等はこれに答えんと欲する。これ大祭開式の辞、最後糟粕の部分である。祭司次長ウィリアム・タッピング祭司長ヘンリー・デビスに代ってこれを述べる。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
浮雲の筆はれきって、ぱっちり眼を開いた五十男の皮肉ひにく鋭利えいりと、めきった人のさびしさが犇々ひしひしと胸にせまるものがあった。朝日から露西亜へ派遣はけんされた時、余は其通信の一ぎょうも見落さなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一萬三千人いちまんさんぜんにんくびねたりとばるゝ、にもおそるべき斬頭刄ギラチンかたち髣髴ほうふつたる、八個はつこ鋭利えいりなる自轉伐木鉞じてんばつもくふとの仕掛しかけにて、行道ゆくてふさがる巨木きよぼくみきよりたほ
鋭利えいり匕首あひくちか何んかで、その喉笛のどぶえを掻き切つたのでせう。
この衝角しやうかくつね甲鐵艦かうてつかんまた巡洋艦等じゆんやうかんとう裝置さうちされたものとはいたことなりて、そのかたち三尖形さんせんけいきはめて鋭利えいりなる角度かくどいうし、てい前方ぜんぽう十七ヒート以上いじやう突出とつしゆつして、その鋭利えいりなる三尖衝角さんせんしやうかく艇内發動機ていないはつどうき作用さようにて