漸々やう/\)” の例文
番頭久八は大いに驚き主人五兵衞へ段々だん/\詫言わびごとに及び千太郎には厚く異見いけんを加へ彼方あち此方こち執成とりなしければ五兵衞も漸々やう/\いかりを治め此後を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昨日逢つた時、明日辭表を出すつてゐだつけが、何しろ村教育も漸々やう/\發展の緒に就いた許りの時だのに、千早先生に罷められては誠に困る。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
漸々やう/\ふかくならんとす人影ひとかげちらほらとまれになるをゆきはこゝ一段いちだんいきほひをましてりにれどかくれぬものは鍋燒饂飩なべやきうどんほそあはれなるこゑおろ商家しやうかあらたかおと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それは永い涙の忍従と苦がい/\血とによつて漸々やう/\皮をぶせた許りの深い傷手いたでであつた。
とぴよこ/\出掛でかけましたが、おろかしいゆゑ萬屋よろづや左衛門ざゑもん表口おもてぐちから這入はいればよいのに、裏口うらぐちから飛込とびこんで、二ぢう建仁寺垣けんねんじがき這入はいり、外庭そとにはとほりまして、漸々やう/\庭伝にはづたひにまゐりますと
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其処そこきづだらけにつて漸々やう/\ところが、取着とつゝきで、以前いぜん夫婦ふうふづれで散歩さんぽ場所ばしよとは、全然まるで方角はうがくちがう、——御存ごぞんじのとほり、温泉をんせん左右さいう見上みあげるやうなやまひかへた、ドンぞこからきます。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
力草ちからぐさ漸々やう/\と山へ這上はひあがりて見ば此はいかに山上は大雪おほゆきにて一面の銀世界ぎんせかいなり方角はうがくはます/\見分がたく衣類いるゐには氷柱つらゝさがしほぬれし上を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
釧路は、人口と云へば僅か一萬五千足らずの、漸々やう/\發達しかけた許りの小都會だのに、どうしたものか新聞が二種ふたつ出て居た。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
れほどの地邸ぢやしき公債こうさいなにほどかはもちたまふならんが、それぢやうさまがじんまくだけ漸々やう/\なるべしと、ツてやうはなしなり、老爺ぢいなんとしてそのやうにくわしくるぞとへば
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きふにものもいはれなんだが漸々やう/\
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
遣ひ居て下されよと出すを久八はおし返したつ辭退じたいをなしけれども千太郎は種々さま/″\に言ひなし漸々やう/\金子を差置さしおきつゝ我が家へこそは歸りけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兎角して渠は漸々やう/\三十行許り書いた。大儀さうに立上つて、其原稿を主任の前に出す時、我乍ら餘り汚く書いたと思つた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
くすがながら口惜くちをしきなりりとてもひとこと斷念あきらめがたきはなにゆゑぞはでまんの决心けつしんなりしが親切しんせつことばきくにつけて日頃ひごろつゝしみもなくなりぬと漸々やう/\せまりくる娘氣むすめぎなみだむせびて良時やゝありしが
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
泣きたくなるのを漸く辛抱して、ぢつと疊の目を見てゐる辛さ。九時半頃になつて、漸々やう/\『疲れてゐるだらうから』と、裏二階の六疊へ連れて行かれた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
でつ漸々やう/\東京こゝへはきしもの當處あてどなければ御行衛おゆくゑさらるよしなく樣々さま/″\艱難かんなん御目おめにかゝるをりめられぐさにとつはこゝろたのしみつゝいやしい仕業しわざきよおこなひさへがれずばと都乙女みやこおとめにしきなか木綿衣類もめんぎもの管笠すげがさ脚袢きやはん
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから二人は、一時間前に漸々やう/\寢入つたといふ老女の話などをしてゐたが、お利代は立つて行つて、今日凾館から來たといふ手紙を持つて來た。そして
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
漸々やう/\の思で改札口から吐出されると、何百輛とも數知れず列んだ腕車、廣場の彼方は晝を欺く滿街の燈火、お定はもう之だけで氣を失ふ位おッ魂消たまげて了つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
身體をちゞめて床の中で待つて居たが、寒國の人は總じて朝寢をする、漸々やう/\女中の入つて來たのは、ものの一時間半もつてからで、起きて顏を洗ひに行かうと
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
間もなく、とある空地に梨箱の樣な小さい家が一軒建てられて、其家が漸々やう/\壁塗を濟ませた許りの處へ、三十恰好の、背の低い、色の黒い理髮師が遣つて來た。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
漸々やう/\開園式が濟んだ許りの、文明的な、整然きちんとした、別に俗氣のない、そして依然やはり昔と同じ美しい遠景を備へた此新公園が、少からず自分の氣に入つたからである。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
出來てから漸々やう/\半年位にしかならず、社も裏長屋みたいな所で、給料の支拂が何時でも翌月になるとか云ふ噂、職工共の紛擾ごた/\が珍しくなく、普通あたりまへの四頁の新聞だけれど
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
眞紅まつかな奴が枝も裂けさうになつてるのへ、眞先に僕が木登りして、漸々やう/\手が林檎に屆く所まで登つた時「誰だ」つてノソ/\出て來たのは、そら、あの畑番の六助爺だよ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
渠は漸々やう/\筆を執上とりあげて、其處此處手帳を飜反ひつくりかへして見てから、二三行書き出した。そして又手帳を見て、書いた所を讀返したが、急がしく墨を塗つて、手の中に丸めて机の下に投げた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
イヤ餘程心配しましたが、これで青天白日漸々やう/\無罪に成りました。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)