きん)” の例文
私はそこでパンとバタにありつけた。Mは「パン一きん食うために、大の男がのこ/\出掛けてきて、つかまったりしたら、事だぜ!」
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
店の隅では、たばこの葉を鉋台かんなだいにかけている者があるし、はかりにかけて五十きん箱に詰めて、江戸へ出す荷ごしらえをしている者もある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
数年前のことだが、まだ火薬のはいったままの六十きん破裂弾がそこから掘り出された。ただその信管は弾丸と平面にこわれていた。
そのときに、重量一万きんともおぼしき大魚が港口に打ち揚げられて、三日の後に死んだので、土地の者は皆それを割いて食った。
掘ざれば家の用路を塞ぎ人家をうずめて人のいずべき処もなく、力強家ちからつよきも幾万きんの雪の重量おもさ推砕おしくだかれんをおそるゝゆゑ、家として雪を掘ざるはなし。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
八時間ののち出してみるとブツブツと醗酵していますからその中へメリケン粉二きんを加えてよく混ぜると饂飩うどんの少し柔い位なものが出来ます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
昔より云傳いひつたへたりまた里人の茶話ちやばなしにもあしたに出る日ゆふべに入る日もかゞやき渡る山のは黄金千兩錢千ぐわんうるしたる朱砂しゆしやきんうづめありとは云へどたれありて其在處ありどころ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしは町の角のパン屋までかけて行って、まもなく一きん買って帰って、それをかれにあたえた。かれはがつがつして、見るまに食べてしまった。
きんの価十銭の葉を喫するも、口にならざるに非ず。その後二十銭のものを買い、これに慣るること数日なれば、またはじめの麁葉そようを喫すべからず。
教育の目的 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「さあ、たべてしまったらみんな早く網を投げろ。昆布を一きんとらないうちは綿のはいったチョッキをやらんぞ。」
きんが一銭だ一銭だ。アッハッハッハッ。面白い面白い。樽の中で手は手、足は足に別々になって寝ているんだ。眼がさめたら困るだろう。アハハハハ。
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
それからからだおもみが六十四きんもあって、おこってちからをうんとれると、その四ばいおもくなるといわれていました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
店で売っている牛肉の罐詰と、福神漬の罐詰の大きい奴を五つずつと、それから、パン屋さんで食パンを十きん買って、一緒に届けてくれっておっしゃるのです。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
中食後ちゆうじきごミハイル、アウエリヤヌヰチはちやを四半斤はんぎんと、マルメラドを一きん持參つて、かれところ見舞みまひた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
で茶二きんを固めたところの長方形の茶塊かたまり(長さ一尺幅六寸五分厚さ三寸)一個が、我々がラサ府で買います値段ねだんが二円七十五銭。それは番茶のごく悪いのである。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼が藕糸歩雲ぐうしほうんくつ穿鎖子さし黄金のよろいを着け、東海竜王とうかいりゅうおうから奪った一万三千五百きん如意金箍棒にょいきんそうぼうふるって闘うところ、天上にも天下にもこれに敵する者がないのである。
七十五里を一目に見る遠目金とおめがね芥子粒けしつぶを卵のごとくに見る近目金、猛虎の皮五十枚、五町四方見当なき鉄砲、伽羅きゃらきん、八畳釣りの蚊帳かや、四十二粒の紫金しこんいたコンタツ。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
であるから少女むすめの死は僕に取ての大打撃、ほとんすべての希望は破壊し去ったことは先程申上げた通りです、もし例の返魂香はんごんこうとかいう価物しろものがあるなら僕は二三百きん買い入れたい。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しかし十銭玉一枚で、血のしたたる鮮肉が、五、六きんも来るというのは馬肉のほかにない。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
きんすぐ持って来るんだよ。いいかい、分ったかい、牛肉の堅くないところを一斤だよ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこで用意ようゐとゝなふと、吾等われらに/\一個いつこづゝ爆裂彈ばくれつだんたづさへて立上たちあがつた。かね用意ようゐとりにくを、十きんばかり鐵檻てつおりあひだから投出なげだすと、しよくゑたる猛獸まうじうは、眞黒まつくろになつてそのうへあつまる。
舟の上には石鼓せきこが二つあった。皆百きんの重さのあるものであった。汪はその一つを持って水の中へ投げた。石鼓は水を打って雷のように鳴った。と、浪がだんだんとなくなって来た。
汪士秀 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
きんほど買ったパンは焼いたばかりのものと見えて家へ帰るまで抱えた脇の下から手の先までをほかほかと好い工合に暖めてくれた。精養軒の近処は夜となれば芸者の往来がはげしい。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
高煦多力たりきなりければ、こうの重き三百きんなりしも、うなじこうを負いてつ。帝炭を缸上に積むこと山の如くならしめて之をもやす。高煦生きながらに焦熱地獄にし、高煦の諸子皆死を賜う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たとへば昨年さくねんの七ぐわつ日本にほん標準生糸へうじゆんきいときん横濱相場よこはまさうばは千三百二十ゑんであつて、對米爲替相場たいべいかはせさうばは四十四ドルぶんの一であつたから、米國べいこくではこれが五百八十二ドル四十五セントであるが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
そは今書かずさふらふ。千きんおもりこの日より我胸を押すとたゞ知り給へ。昼前ベツカ夫人に誘はれ私は甲板かふばんに出でてとう椅子の上の一人ひとりとなり申しさふらふ。安達様夫婦もかたはらにて書見しよけんなど遊ばしられさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
重さにおいて一きんと二斤の差があるのは、肥料の培養法ばいようほうによってである、よき肥料と精密な培養はいもの量をふやしまた重さをふやす、よき修養とよき勉強は同じ人間を優等にすることができる
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ところがペルメルという横浜の外国商人が百きん四百五十ドルの高値で三十五万斤という大量の契約を結びたいと申しているのですが、いかんせん、支払いが品物の引渡し完了の上、となっているので
駿府の城ではお目見えをする前に、まず献上物が広縁ひろえんならべられた。人参にんじん六十きん白苧布しろあさぬの三十疋、みつ百斤、蜜蝋みつろう百斤の四色よいろである。江戸の将軍家への進物しんもつ十一色に比べるとはるかに略儀りゃくぎになっている。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
日本橋で散弾二きん買う。ランプの台に入れるため。
震災日記より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
きんよろひくわんくら
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
昔、廉頗れんぱは年八十に及んで、なお米一斗、肉十きんを食い、天下の諸侯、これをおそれ、あえてちょうの国境を犯さなかったといいます。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
念のために一つ一つ紙へ計算をしるして御覧なさい。エート、先ずサンドウィッチの原料として、食パン一きんすく切って二十きれにします。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
パンは一きん五スーであった。二斤買えば十スーになる。わたしはあしたどうなるかわからないのに、手もとを使いきるのはりこうなことではなかった。
中食後ちゅうじきごミハイル、アウエリヤヌイチはちゃを四半斤はんぎんと、マルメラドを一きん持参って、かれところ見舞みまいた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そこで、天下に触れを廻して、もし戎呉の将軍の首を取って来る者があれば、千きんの金をあたえ、万戸ばんこむらをあたえ、さらに王の少女を賜わるということになった。
ニヴェルの道のジュナップの道との交差点であるモン・サン・ジャンを砲撃して戦争を開始する役目を帯びていた十二きん砲の三個砲兵中隊が、ついに展開するのを見て
ことその頭部とうぶ裝填さうてんせられたる爆發藥ばくはつやくは、普通ふつう魚形水雷ぎよけいすいらい頭部とうぶ綿火藥めんくわやく百七十五きん相當さうたうして、千四百ヤード有效距離いうかうきよりを四十一ノツト速力そくりよくをもつて駛行しかうすること出來できるのであるから、砲聲ほうせい轟々がう/\
その足で長崎中の味噌屋を尋ねて、福昌号に味噌を売った者はないかと尋ねてみると、タッタ一軒、山口屋という味噌屋で三百五十きんの味噌を売ったというほかには一軒も発見し得なかった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一、金 十三両 うなぎ 十三きん
毒もみのすきな署長さん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ところがわが輩の手に合う出来合い物なんて見たことないので持たなかったのだ。ひとつ急いでこさえてくない。重サ百きんほどなのを」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このヒレ肉は三十人前に牛一頭振とうぶり即ち七きんほどを用いてあります。ヒレ肉は左右に二本あって一本が大概三斤半位です。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「雀ぐらいを撃つ弾薬たまぐすりならば幾らもいる筈はない。おまえは何で二、三十きんの火薬を買ったのだ」
体重百四十きんに近い、六尺豊かの図体で、大一番の菜葉服の襟首や、袖口や、ズボンの裾から赤黒い、逞ましい筋肉が隆々とハミ出しているところは、如何にも単純な飾り気のない性格に見える。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おいおい、こんな物じゃ腹の足しにならねえよ。あぶらのいいところ、二きんほど、こってり煮込んだとこを持ってこいや」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この三つは背の皮の下にありますがこの肉の下にヒレ肉という上等の処があります。即ち俗にいう内ロースで一頭の牛で八きんか九斤位より多くはありません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
しかしい酒二石と、食用の犬十匹と、麻数十きんとを持ってお出でになれば、みんなが一致して彼を殺すことが出来ます。来るならば必ず正午ごろに来てください。それも直ぐに来てはなりません。
「おお。そういえばあの角屋の青柳喜平はまあだ三十四五にしかならんのに豚のごとブクブク肥えとる。百四五十きん位あるけに息が苦しいとこの間自分で云いよった。あの男なら四十位になると中風ちゅうきでコロッと死ぬかも知れんぜ」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
駿馬に積んでいた鉄一千きんと、百たんの獣皮織物と、金銀五百両を挙げてみな、「どうか、軍用の費に」と、献上した。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
別に一きん十八銭位な牛のすね二斤を買ってスープを五合ばかり取っておいてゼラチンを一合に五枚の割即ち五合に二十五枚水へ漬けて柔くしてそのスープへ入れて少し煮ます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)