戰慄せんりつ)” の例文
新字:戦慄
軍艦ぐんかん種類しゆるいならばなに配慮しんぱいするにはおよばないが——しや——しや——とわたくしはふとあること想起おもひおこしたときおもはずも戰慄せんりつしたよ。
勘次かんじ菜切庖丁なきりばうちやう取出とりだして、そのたか蜀黍もろこしみきをぐつとまげては穗首ほくびちかなゝめつた。勘次かんじとまつてみききふかへつた。さうして戰慄せんりつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
が、くまでの激震げきしんに、四谷見附よつやみつけの、たかい、あの、頂邊てつぺんきてひとがあらうとはおもはれない。わたしたちは、くもそこで、てん摺半鐘すりばんつ、とおもつて戰慄せんりつした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何故なぜなら、そのころ、さういふ野蠻やばん戰慄せんりつすべきうはさが、世間せけんやかましくつたはつてゐたからだ。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
お勢はさすがに危ぶなかつたその時のことを思ひ出したか、全身に戰慄せんりつが走ります。
それを思ふと、ちよツと戰慄せんりつせざるを得ない。が、「樺太通信」を東京の新聞に受け合つた經驗もあり、また、こないだで、多少北海道的な筆ならしをしてあるので、左ほど心配とも思はない。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
女人大衆によにんたいしゆうその眼に神祕の喜悦あり、戰慄せんりつあり。
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
「よう、おとつゝあ」おつぎの節制たしなみうしなつたあわたゞしさが勘次かんじにははしらせた。勘次かんじ戰慄せんりつした。かきしたにはつめたい卯平うへいよこたはつてたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
獅子しゝ猛烈まうれつだの、おほかみ兇惡きようあくだのといつて、この猛狒ゴリラほどおそろしい動物どうぶつはまたとあるまい、動物園どうぶつゑんてつおりなか姿すがたでも、一見いつけんして戰慄せんりつするほど兇相あくさう
自分じぶん伴侶なかまが一つにあひあひいだいて微風びふうにさへえずひゞきてゝ戰慄せんりつしつゝあるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
猛惡まうあくなるさる本性ほんしやうとして、容易ようゐさない、あだかあざけごとく、いかるがごとく、その黄色きいろあらはして、一聲いつせいたかうなつたときは、覺悟かくごまへとはいひながら、わたくしあたまから冷水ひやみづびたやう戰慄せんりつした