御氣おき)” の例文
新字:御気
がないものだから、ついおそくなりまして御氣おきどくです。すぐ御膳ごぜんいたしませう。しかしこんなところだからげるものがなくつてこまります。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この至情しゞやうをあざけるひとは、百萬年まんねんも千萬年まんねんきるがい、御氣おきどくながら地球ちきうかはたちま諸君しよくんむべくつてる、あわのかたまり先生せんせい諸君しよくん
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
どうして/\御庭いぢり所か御本宅にては御取込で御目出度けれど、此方樣こちらさまでは秋からかけて孃樣の御病氣、御隱居樣の御心配それは/\實に御氣おきの毒でならぬ
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
開ける故兩人は渡世とせいの事なれば那のやうに云ずとも宜さうなものと思ひながらも商賣柄しやうばいがらなれば御不肖ごふせうあれ以來御世話になるも御氣おきどくつきかぎ御借おかりおき家内かないの者に開閉あけたて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つと大事だいじほねさへらば御氣おきらぬことはづさだめて、かゝるおにしゆうをもつぞかし、目見めみえのみて三日ののち七歳なゝつになるじやうさまおどりのさらひに午後ごゞよりとある
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きみ學問がくもんみち寢食しんしよくわすたまふは、至極しごく結構けつこうにて、とやかく申上まをしあげむことばもなくさふらへども御心遣おんこゝろやりすべさふらはでは、あまりに御氣おきつまりて千金せんきん御身おんみにさはりとも相成あひならむ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さむいでせう、御氣おきどくさまね。生憎あいにく御天氣おてんき時雨しぐれたもんだから」と御米およね愛想あいそつて、鐵瓶てつびんぎ、昨日きのふのりいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御側おそば面々めん/\鳥籠とりかごをぐるりと取卷とりまき、「御難澁ごなんじふのほどさつる、さて/\御氣おきどくのいたり」となぐさむるもあり、また、「これも御奉公ごほうこうなれば怠懈おこたり御勤おつとめあるべし、かみ御慰おんなぐさみにならるゝばかり、 ...
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんとせんさて人妻ひとづまとなりての心得こゝろえむすめときとはことなるものとか御氣おきらばけれどかれなばかなしきことまづそれよりも覺束おぼつかなきはふみ御返事おへんじなり御覽ごらんにはなりたりともそのまゝおしまろめたまひしやらかへりて御機嫌ごきげん
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたくしじつ貴方あなた御氣おきどくで」とせつなさうに言譯いひわけ半分はんぶんして、またそれなりだまつて仕舞しまつた。洋燈らんぷ何時いつものやうとこうへゑてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)