形容けいよう)” の例文
小文治こぶんじはかれの姿すがた形容けいようしながら、あとから飛びのって渡し綱をたよりに、グングン濠の水をあなたの芝土手しばどてへと横切ってゆく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其振動そのしんどうぶりは、最初さいしよ縱波たてなみくらべてやゝ緩漫かんまん大搖おほゆれであるがため、われ/\はこれをゆさ/\といふ言葉ことば形容けいようしてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
タツ! タツ! タツ! あゝあのおと形容けいようするのはむづかしい、なんといふ文字もんじまづしいことであらう、あれあんなにやさしい微妙びめうおとをたてゝゐるのに……。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ほがら/\といふと、夜明よあけのそらのあかるさをしめ言葉ことばです。それを、つきつてゐるそら形容けいようもちひたので、いかにもひるのようなあかるいてんかんじられます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
余は之を以て極めて大なる足跡そくせきの如きもの即ち竪穴に類したるものとなす。余は釧路貝塚の近傍に於て實に大人のあるきたる跡とも形容けいようすべき數列の竪穴を見たり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
説明せつめい形容けいようなにもない——燐寸まつちるといなや、アルコールにをつけるのであるから、言句ごんくもない。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
形容けいようすればみづやうあさあはいものであつた。かれ今日こんにちまで路傍ろばう道上だうじやうおいて、なにかのをりれて、らないひと相手あひてに、是程これほど挨拶あいさつをどのくらゐかへしてたかわからなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
現実が頼りなくなって来たような、形容けいようのできないさびしさが、ひしひしと身にせまって来た。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
唖々子は既に形容けいよう枯槁ここうして一カ月前に見た時とは別人のようになっていたが、しかし談話はなお平生へいぜいと変りがなかったので、夏の夕陽ゆうひの枕元にさし込んで来る頃までともに旧事を談じ合った。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なんといって、形容けいようのしようがなかったのでした。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
初期微動しよきびどう通常つうじようびり/\といふ言葉ことば形容けいようせられるように、やゝきゆうにしかも微小びしよう振動しんどうであるが、それが數秒間すうびようかんあるひ十數秒間じゆうすうびようかん繼續けいぞくすると、突然とつぜん主要動しゆようどうたるおほきな振動しんどうる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
夫人ふじん居室ゐまあたる、あまくしてつやつぽく、いろい、からきりはないたまどしたに、一人ひとりかげあたゝかくたゝずんだ、少年せうねん書生しよせい姿すがたがある。ひと形容けいようにしてれいなり、といてある。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
泣き虫の蛾次郎がじろうおよび親方おやかた卜斎ぼくさいまでが、なにを見てそんなにぼうぜんとしているのかと思えば——それも道理どうり、ふしぎ! イヤふしぎなどというなまやさしい形容けいようをこえた、あるべからざる事実じじつ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほとん形容けいよう出來できないおとひゞいて、ほのほすぢうねらした可恐おそろし黒雲くろくもが、さらけむりなかなみがしらのごとく、烈風れつぷう駈𢌞かけまはる!……あゝ迦具土かぐつちかみ鐵車てつしやつて大都會だいとくわい燒亡やきほろぼ車輪しやりんとゞろくかとうたがはれた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)