容體ようだい)” の例文
新字:容体
みゝづくでしよくろんずるあんまは、容體ようだい倨然きよぜんとして、金貸かねかしるゐして、借家しやくや周旋しうせん強要きやうえうする……どうやら小金こがねでその新築しんちくをしたらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
致さるゝやと云ひけるに左仲は最初さいしよより一言も云はず居たりしが彼の者の容體ようだいを見て大いに恐れかれまぎれもなき盜賊なるべし我渠を見しより思はず恐怖おそれし事故我弱みを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふとつたをとこ一應いちおう容體ようだいいて、口中こうちゆう檢査けんさして、宗助そうすけいたいと一寸ちよつとゆすつてたが
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
貴女あなた、一けん、あのおとなりさんが、へんなことをふんですよ。唯今たゞいまうしたんですか、きふに、おもひもけない、わる容體ようだいにおかはんなすつたんですがね。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
卷上れば天一坊はあつたけからざる容體ようだいに着座す其出立には鼠色ねずみいろ琥珀こはく小袖こそでの上に顯紋紗けんもんしや十徳じつとくを着法眼袴はふげんはかま穿はきたり後の方には黒七子くろなゝこの小袖に同じ羽織茶宇ちやうはかま穿はき紫縮緬むらさきちりめん服紗ふくさにて小脇差こわきざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兎角とかくするうちやく時間じかんつた。醫者いしやはしばらく經過けいくわかうとつて、夫迄それまで御米およね枕元まくらもとすわつてゐた。世間話せけんばなし折々をり/\まじへたが、大方おほかた無言むごんまゝ二人共ふたりとも御米およね容體ようだい見守みまもことおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
主人あるじも、容體ようだいわる病人びやうにんで、うはずつて突掛つゝかゝるやうにまをしたさうです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
越前守殿打聞れ扨々さて/\汝等は理も非も知らざるまことに無法者なる哉汝只今何と申せしぞ去年の四月只一度見舞みまひしのみと申したるにはあらずや然れば母の容體ようだい今頃は氣力衰へたるか増たるかは知らざる成べし然るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
留守るすには、年寄としよつたこしたない與吉よきち爺々ちやん一人ひとりるが、老後らうごやまひ次第しだいよわるのであるから、きふ容體ようだいかはるといふ憂慮きづかひはないけれども、與吉よきちやとはれさき晝飯ひるめしをまかなはれては
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)