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壜
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びん
ふりがな文庫
“
壜
(
びん
)” の例文
棚の上には酒の
壜
(
びん
)
や缶詰のたぐいも乗せてあった。ふたりはまん中に据えてある丸いテーブルを囲んで、粗末な椅子に腰をおろした。
麻畑の一夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
机の上にはアルコホル漬けにした
蜘蛛
(
くも
)
の
壜
(
びん
)
がいくつも並んでおり、その前の硝子器の中にも一匹大きなやつがじっと伏せられている。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
ターネフは、
安楽椅子
(
あんらくいす
)
に、どっかと身をなげかけた。その前に小さいテーブルがあって、酒の
壜
(
びん
)
と
盃
(
さかずき
)
とソーダ水の筒とがのっている。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
安ものの青い
絨毯
(
じゅうたん
)
が敷かれて、簡素な
卓子
(
テイブル
)
と
椅子
(
いす
)
が並んでおり、がっちりした大きな化粧台の上に、幾つかの洋酒の
壜
(
びん
)
も並んでいた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
司厨夫
(
バットラー
)
のスタッブスがどこからとなしに現われて、アルコールなしのシャンパンの
壜
(
びん
)
を持って来たので、だれかかった一座が救われた。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
▼ もっと見る
入れていたもので、なかなか評判でありました。硝子器の
壜
(
びん
)
は「ふらそこ」といって、
桐
(
きり
)
の二重箱へなど入れて大切にした時代です
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
壁に五段ばかり棚を釣って、重ね、重ね、重ねてあるのは、
不残
(
のこらず
)
種類の違った植物の標本で、中には
壜
(
びん
)
に密閉してあるのも見える。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
コップもビイルの
壜
(
びん
)
も、こわれなかったけれど、たしかに未だ半分以上も壜に残っていたビイルが白い泡を立てつつこぼれてしまった。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
机の上には大理石の
屑
(
くず
)
、塩酸の
壜
(
びん
)
、コップなどが置いてあった。
蝋燭
(
ろうそく
)
の火も燃えていた。学士は手にしたコップをすこし
傾
(
かし
)
げて見せた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
天王寺公園の市立動物園へ象の
糞
(
ふん
)
をもらいに行く男があれば、獅子の尿を四合
壜
(
びん
)
を提げて取りに行く女もある。ずいぶんときたない話。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
彼はそのテーブルの上に胸をかがめ、両腕にぐったり頭を押しつけ、杯やコップや
壜
(
びん
)
にとりまかれて、常に同じ姿勢のままでいた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ドクトルは
其後
(
そのあと
)
を
睨
(
にら
)
めてゐたが、
匆卒
(
ゆきなり
)
ブローミウム
加里
(
カリ
)
の
壜
(
びん
)
を
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
發矢
(
はつし
)
と
計
(
ばか
)
り
其處
(
そこ
)
に
投
(
なげ
)
付
(
つけ
)
る、
壜
(
びん
)
は
微塵
(
みぢん
)
に
粉碎
(
ふんさい
)
して
了
(
しま
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
菓物
(
くだもの
)
のシロップを沢山
拵
(
こしら
)
えておいてそれを
湯冷
(
ゆざま
)
しの水へ
注
(
さ
)
して
壜
(
びん
)
へ入れて井戸の中か氷で冷しておけば美味しい飲料が何でも出来ます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
傍
(
かたわら
)
の
卓子
(
テーブル
)
にウイスキーの
壜
(
びん
)
が
上
(
のっ
)
ていてこっぷの飲み干したるもあり、
注
(
つ
)
いだままのもあり、人々は
可
(
い
)
い加減に酒が
廻
(
ま
)
わっていたのである。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
酒を飲みたい、と一言いえば、たとえ借金をし、眠っている店をたたきおこしてでもウィスキイ
壜
(
びん
)
を買ってきてくれるのである。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
酒倉は地下室にある。まもなくそこを捜索してお
誂
(
あつら
)
えの
壜
(
びん
)
を持って来て、葡萄酒の方は、まあこれでいいが、その五日後である。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
それでいながら彼は、朝飯の時にも昼飯の時にも夕飯の時にも、自分の前に立っているウイスキイの
壜
(
びん
)
に、絶え間なく手を出すのだった。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
「
咽喉
(
のど
)
を
潤
(
しめ
)
しておいてから……」と、山西は一口飲んで、隣の
食卓
(
テーブル
)
に
正宗
(
まさむね
)
の
壜
(
びん
)
を二三本並べている
髯
(
ひげ
)
の黒い男を気にしながら
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
玄関は踏板のところまで、
壜
(
びん
)
の見本が雑然と並んでゐて、むせるやうな香料の匂ひが、煤けた屋内の隅々から這ひ寄つて来る。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
夜になると、坊ちやんが寝てゐられる枕もとに、三匹の小さい金魚が這入つた硝子の
壜
(
びん
)
が、電気の
灯
(
あかり
)
を受けて、赤いのが大きく見えてゐた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そうして向うでちろりを借りてお
燗
(
かん
)
をつけて、余った酒は又
壜
(
びん
)
に入れて持って帰って
酒
(
さか
)
しおに使うと云うんだが、実際ありゃあいい考だね。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ゆき子は黙つて、部屋の隅の
壜
(
びん
)
を二三本
透
(
す
)
かして見てゐたが、「ないわ」と云つた。富岡は毎晩酒がなくてはゐられないやうになつてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
数輪の
薔薇
(
ばら
)
の花が
壜
(
びん
)
にさしてあって、古いフロレンス画家の写真で飾られてる四方壁の室に、春の気を少しもたらしていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自殺者はツララ型をした鋭い氷片を魔法
壜
(
びん
)
に入れて、蒸し風呂の中へ持ちこみ、それで自分の心臓を刺して死んだのである。
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、まずその電気広告費を稼ぐために、彼は毎日違法倶楽部の酒台の向側でカクテル
壜
(
びん
)
を振らなければならなかったのです。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
どこまで行っても同じような焼跡ながら、
夥
(
おびただ
)
しいガラス
壜
(
びん
)
が気味悪く残っている
処
(
ところ
)
や、
鉄兜
(
てつかぶと
)
ばかりが一ところに吹寄せられている処もあった。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
西洋人に異様な興味を持つ年頃であるお京さんは配達夫が持って行く牛乳の
壜
(
びん
)
に日本の名所の絵葉書なぞ結びつけてやった。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼女はまもなく肉切れの一皿と一
壜
(
びん
)
のぶどう酒とをもってやってきたが、それはどう見ても食事の残りものにすぎなかった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
實際
(
じつさい
)
思
(
おも
)
つたよりも
早
(
はや
)
く、それを
半分
(
はんぶん
)
飮
(
の
)
まない
中
(
うち
)
に
愛
(
あい
)
ちやんは
頭
(
あたま
)
が
天井
(
てんじやう
)
につかへたのを
知
(
し
)
り、
首
(
くび
)
の
折
(
を
)
れない
用心
(
ようじん
)
に
屈
(
かゞ
)
んで、
急
(
いそ
)
いで
壜
(
びん
)
を
下
(
した
)
に
置
(
お
)
き
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
硝盃
(
コツプ
)
へ
先
(
さき
)
に水を
入
(
い
)
れて、ポタリ/\と
壜
(
びん
)
の口を
開
(
あ
)
けながら
滴
(
たら
)
すのだが、
中々
(
なか/\
)
素人
(
しろうと
)
にはさう
旨
(
うま
)
く
出来
(
でき
)
ない、二十
滴
(
てき
)
と思つた
奴
(
やつ
)
が六十
滴
(
てき
)
許
(
ばかり
)
出た。殿
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
インク
壜
(
びん
)
をぶら下げて歩くのは、若い娘達の一つの見得で、東京の山の手から、田舎の進歩的な娘の間に、恐ろしい
勢
(
いきおい
)
で流行していたものです。
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おしのは草履を
結
(
ゆわ
)
いつけてはき、
煎薬
(
せんやく
)
を詰めた
壜
(
びん
)
と、綿や紙を入れた包みを持って、釣台の
脇
(
わき
)
に付いて本石町をでかけた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうしてオキシフルの
壜
(
びん
)
を手にしたまま、スティムで蒸されている息苦しい廊下のなかを歩きだす。
鞄
(
かばん
)
につまずいたり、靴をふんづけそうになる。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼は、河底の砂の上に
壜
(
びん
)
が一本転がっているのを見つける。中には水がいっぱい入っているだけだ。私はわざと
餌
(
え
)
を入れておかなかったのである。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
一杯売の外には多量に分けられぬというのを、近所の
誼
(
よし
)
みでと無理に頼み込んで、時々一升
壜
(
びん
)
を持たせて買いに遣る。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
鶴子は涙を見せまいと台所へ行って見ると、老人の言った通り、酒屋の男が
醤油
(
しょうゆ
)
の
壜
(
びん
)
を置いて立去るところであった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「どうだ、一
盃
(
ぱい
)
遣らないか」と、前にあった
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
の
壜
(
びん
)
を持って振って見せた。中にはまだ余程這入っていた。梅子は手を
敲
(
たた
)
いて
洋盞
(
コップ
)
を取り寄せた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は毎朝台所へ来る牛乳の
壜
(
びん
)
を
軽蔑
(
けいべつ
)
した。又何を知らぬにもせよ、母の乳だけは知っている彼の友だちを
羨望
(
せんぼう
)
した。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこには、
硯
(
すずり
)
や色々の
壜
(
びん
)
が入っておりましたが、そのうち特に俊夫君の興味をひいたものがありました。それはビタミンAという薬剤の入った壜でした。
自殺か他殺か
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
美しい
彫刻
(
ほり
)
のある、銀の台付の杯を、二つ並べて、浪路は、黄金のフラスコ型の
壜
(
びん
)
から、香りの高い酒を
充
(
みた
)
して
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「ブランデーの
壜
(
びん
)
を大急ぎで持っておいで。それから、吉川様へ
直
(
す
)
ぐお
出
(
いで
)
下さるように電話をおかけなさい! 直ぐ! 主人が
危篤
(
きとく
)
でございますからと。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「お約束のカシミヤブーケは之だけしか上げられませんよ。」そして、前へ出した彼の女の黒い手には、二三滴の香水をひそませた一個の
壜
(
びん
)
が握られてゐた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
壜
(
びん
)
の腰を
藁
(
わら
)
で巻いた赤い
葡萄
(
ぶだう
)
酒は
何
(
ど
)
うせ
廉物
(
やすもの
)
だらうが、
巴里
(
パリイ
)
で飲んだ同じ物より本場
丈
(
だけ
)
に快く僕を酔はせた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そうした外敵からは彼らは安全であったと言えるのである。しかし毎日たいてい二匹宛ほどの彼らがなくなっていった。それはほかでもない。牛乳の
壜
(
びん
)
である。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
その隣には「陳列
壜
(
びん
)
店」という看板が掲げてあって、店をのぞくと、たとえば諸君がお
前餅屋
(
せんべいや
)
の店先で見られるであろう、あのお煎餅の入っている電灯型の壜
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
万全を期するため、ついでにコピーを一通つくつて、
壜
(
びん
)
に密封して海中に投じることにしよう。この早手廻しの遺書(?)が、結局無用に帰することを僕は祈る。
わが心の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
カッスル社から「
壜
(
びん
)
の悪魔」と「ファレサの浜辺」とを合せ、「島の夜話」として出そうと言って来る。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そこには、二人の一等卒が、正宗の四合
壜
(
びん
)
を立てらして、テーブルに向い合っていた。ガーリヤは、少し上気したような顔をして
喋
(
しゃべ
)
っている。白い歯がちらちらした。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
咽喉
(
のど
)
から下全部を、一つの袋か
壜
(
びん
)
の類と見なした言葉だと思う、そしてボタンはその
度盛
(
ども
)
りである。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
角柱はよく知られているもので、第8b図(第4図版)に見られるように、両底面からビール
壜
(
びん
)
の揚げ底のような形の
孔
(
あな
)
がはいり込んでいることは前から知られている。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
“壜(
瓶
)”の解説
瓶、壜(びん)は、ガラスや陶器を材料とした容器。
(出典:Wikipedia)
壜
漢検1級
部首:⼟
19画
“壜”を含む語句
壜詰
硝子壜
酒壜
牛乳壜
半壜
空壜
小壜
薬壜
花壜
角壜
大壜
四合壜
一壜
壜栓
壜入
魔法壜
醤油壜
鉄壜
香水壜
花壜録音器
...