いびき)” の例文
年久くかはるる老猫ろうみようおよ子狗こいぬほどなるが、棄てたる雪のかたまりのやうに長火鉢ながひばち猫板ねこいたの上にうづくまりて、前足の隻落かたしおとして爪頭つまさきの灰にうづもるるをも知らず、いびきをさへきて熟睡うまいしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何者かこれ、天地を枕衾ちんきんとして露下月前に快眠せる漢子おのこは、数歩のうちにありていびきを立てつ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)