黄疸わうだん)” の例文
中村、藤沢両君の話にると、十七日に、主治医のばん鎌吉さんが、赤彦君の黄疸わうだんの一時的のものでないことの暗指あんじを与へたさうである。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
主人は墨汁壺インキつぼのやうな真つ暗な部室へやにもぐもぐしてゐたが、客が来たと気がつくと、のつそり立つて往つて、蝋燭にをつけた。蝋燭は黄疸わうだんみのやうな黄色い光りを四辺あたりに投げた。
竹 わたしは未だに黄疸わうだんですよ。…………
新緑の庭 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
二十二銭茂吉薬代くすりだい。こんな工合である。ここに二十二銭茂吉薬代とあるのは、僕が絵具に中毒して黄疸わうだんになつたとき、父は何処どこからか家伝の民間薬を買つて来てくれた。それを云ふのである。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
竹 わたしはいまだに黄疸わうだんですよ。……
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)