魅込みこ)” の例文
旦那、魅込みこまれたようにあとびっしゃりをしながら、いやだ、神さまへお初にお目にかけるもんだから、途中で開けることはならないッて申しやす。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
旦那様は、魅込みこまれてらっしゃる! 恐ろしいこんだ……恐ろしいこんだ! 旦那だんな様、決していらっしゃっちゃなりましねえ……命はごぜいましねえ!
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
こうなると、猫は気が狂ったのか、さもなければ薄雲を魅込みこんだのだろうと云うことになって、主人は脇差を持って来て、猫の細首を打ち落とすと、その首は風呂場へ飛び込みました。
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あの方はお金があるために悪者達に狙われているし、貴郎はあんまり美しい為に私のような悪い女に魅込みこまれたではありませんか——おや、畜生! また彼奴が、彼方あそこから私達を見張っている!
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「私の病気はそれからまた悪くなったのです。……こういうのろわれた病気ですから、もう回復するわけはないのです。……二人に魅込みこまれている……の……です……から……」
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
旦那様は魅込みこまれておいででございます……旦那様があの道をお通りになったんで、それでお嬢様たちが出ていらしたに違いございません……ともかく旦那様、えらいことでございます。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)