)” の例文
その幼時のあまい記憶が大きくなって落ちれた私によみがえってくるせいだろうか、まったくあの味にはかすかなさわやかななんとなく詩美と言ったような味覚が漂って来る。
檸檬 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
ここの厩舎うまやひとやから、縄を解いて、放ってやった七郎というあの侍は、その後、主家の兵衛から、役に立たぬ不届き者と、家をも扶持ふちをも奪われて牢人となり、菰僧に落ちれていると聞いたが……。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)