魂膽こんたん)” の例文
新字:魂胆
これが親分をらして、自分から乘出させる魂膽こんたんと知り乍らも、平次はツイ斯う威勢の良い『馬鹿野郎』を飛ばしてしまひました。
さういふその男の魂膽こんたんはどこにあつたか? しかしおきみと周三は、その疑問を詮議せんぎする前に、背に腹は代へられぬ、といふせつぱ詰つた氣持ちから、とりあへず
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
こと/″\く良い心持になれたので、それを又くり返して、その頃嫌つた片月見にならぬやうにと、いとも經濟的な魂膽こんたんだつたに違ひありません。
「いよ/\お前といふ人間は長生きをするやうに出來て居るよ、——ところで、何處へ俺を誘ひ出さうといふ魂膽こんたんなんだ」
馴合ひで孝行ごつこをやり、世間の評判を取る魂膽こんたんだつたに違げえねえ。あの暮し向きの贅澤なのを見て、母親が無暗に伜を褒めるのを聽いた時俺は嫌な心持になつたよ
右京を窮地きゆうちおとしいれた上、吉彌を亡きものにして、京之助に家督をがせる魂膽こんたんをめぐらし、着々それを實行してゐた事を平次に證明されて、今更驚きあきれるばかりでした。
それに息を彈ませて俺の家の格子の外へ立つたり、お縫に世話を仕過ぎたり、怪しいことばかりだ——朝田屋に放火したのもあの男だらう。——お縫を自分の傍へ引寄せる魂膽こんたんさ。
どうかしたら、打越金彌が二人の間の邪魔をして居たのかも知れない、——お玉にいろ/\嫌がらせをやつて、丁度宜いところで自分が助け舟を出してやらうと言つた魂膽こんたんもあつたやうだ
「どうせ變死と知れずには濟まぬと思つたのさ、知れると、このあたりの事だから、俺が行くに決つてゐるぢやないか。どうせ平次の手に掛かるものなら、此方から訴へ出て好い子にならうといふ魂膽こんたんさ」