高市黒人たけちのくろひと)” の例文
高市黒人たけちのくろひとの歌に、「吾妹子に猪名野ゐなぬは見せつ名次山なすぎやまつぬの松原いつか示さむ」(巻三・二七九)があり、この歌より明快だが、却って通俗になって軽くひびく。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
がどちらにしても、いかにもつるいてゐることが、き/\とうつされてゐます。これがまだ、奈良朝ならちようになつたかならないまへうたなのです。高市黒人たけちのくろひとといふひとつくつたものであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
これは高市黒人たけちのくろひとの作である。黒人の伝はつまびらかでないが、持統文武両朝に仕えたから、大体柿本人麿と同時代である。「船泊ふなはて」は此処では名詞にして使っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)