駿河町するがちょう)” の例文
私はもし東京市の実業家が真に日本橋といい駿河町するがちょうと呼ぶ名称の何たるかを知りこれに対する伝説の興味を感じていたなら
中にも駿河町するがちょうという所にいてある越後屋えちごや暖簾のれんと富士山とが、彼の記憶を今代表する焼点しょうてんとなった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
旧暦二月のなかばの春の空は薄むらさきに霞んで、駿河町するがちょうからも富士のすがたは見えなかった。その日本橋の魚河岸から向う鉢巻の若い男が足早に威勢よく出て来た。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……三番は、平河町ひらかわちょう騎射きしゃ人形、……四番は、山王町の剣に水車みずぐるま、……八番は、駿河町するがちょう春日龍神かすがりゅうじん、……十七番は、小網町こあみちょうの漁船の山車、……四十番が霊岸島れいがんじま八乙女やおとめ人形‥…
こんなつまらない事を考えたりする。「駿河町するがちょう」の絵を見ると、正面に大きな富士がそびえて、前景の両側には丸に井桁いげたに三の字を染め出した越後屋えちごやののれんが紫色に刷られてある。
丸善と三越 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
駿河町するがちょう三井みついに通っております」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名月や富士見ゆるかと駿河町するがちょう 素竜