馳走酒ちそうざけ)” の例文
部下や村の者に山狩をさせたり、夜昼のけじめなく捜索に奔命ほんめいさせたりしておいて、自分は、陽が暮れればこの寺を宿として、馳走酒ちそうざけにあずかっているという身分らしい。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……馳走酒ちそうざけのひどいのをしたたか飲まされ、こいつはいきがいいと強いられた、黄肌鮪きはだの刺身にやられたと見えて、うちへ帰ってから煩った、思い懸けず……それがまた十何年ぶりかで
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もういけやせぬ、と空辞誼そらじぎはうるさいほどしながら、猪口ちょくもつ手を後へは退かぬがおかしき上戸じょうご常態つね、清吉はや馳走酒ちそうざけに十分酔ったれど遠慮に三分の真面目をとどめて殊勝らしく坐り込み
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)