養母はは)” の例文
殊にいつも、養母ははのお甲とたわむれていた又八と思い較べていただけに、思慕の糸が、この年月まで、切れもせずに胸につながって来た。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭のステキにいい、何につけても器用な男で、人柄もごく温柔おとなしい方だったので、養父ちちの玄洋が惚れ込んでしまって、うちの養子にしようかなどと、養母ははに相談した事も、ある位だったそうです
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
金網あみありて触れ得ぬ養母はは手紙ふみ来れば足りるひと日にぬくみかさなる
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
まして、養母ははの手でむごい運命へ突きのめされた——あの住吉の浦から今日に至るまでのことなどは、どうしても口に出なかった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
養母ははよりのタオルが肌にここちよし処刑死の身が湯あがりに拭く
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
そのくせ自分がこんなつき詰めた考えを抱いているなどということは、およそ彼女の養母ははのお甲も知らない。清十郎も思わない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わが養母ははは未婚のままに養母ははとなり母のよろこび深しとありぬ
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
「まったく、私も、実に困ってしまいました。実の母なら気心も分りましょうが、何しろ、十二、三の時に、たった二年程しか、一緒にいなかった養母ははなんで」
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「朱実、降りておいで。……もうあんなことはしないから降りておいで。……おまえの養母ははの亭主だったという男をつい斬ってしまった。降りて来て、介抱してやってくれ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自業自得じごうじとくとは言いながら、気の毒にもなって、だんだん事情を聞き取ってみると、銅鑼屋の亀さんは吃驚びっくりした。その女が、前々話を聞いていた、左次郎の養母ははに当るお咲だった。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……人違いだ、気のせいだ……いくら何でも、まさか養母ははが夜鷹などに」
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、養母ははだけを出立たたせた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)