飽々あき/\)” の例文
曙色あけぼのいろに松竹梅を總縫した小袖、町風に髮を結ひ上げた風情は、長局ながつぼね風俗に飽々あき/\した家光の眼には、どんなに美しいものにうつつたでせう。
「では皆さんお休みなさい。」と彼は、私たちと一緒にゐるのに飽々あき/\して追ひ出してしまひたいのだと云ふやうに入口の方に手を動かして云つた。
その行爲はつまらない小さなものだつたとしても、なほこちらから働きかけたものであつた。そして私は何もかも受身うけみの生活には飽々あき/\してゐたのだ。
「心配するなよ。金は小判といふものをフンダンに持つて居るんだ。——なア八、俺もこの稼業には飽々あき/\してしまつたから、今年は一つ商賣替をしようと思ふがどうだ」
私にどんなに利益りえきになつたことだらう? さうだ、ちやうど「安樂すぎる椅子」にじつと腰かけて飽々あき/\してゐる人に、遠くまで散歩させると同じ程のいゝことをしてくれたのだ。
よくそんなに變なことにくはすんだね、俺なんか當り前のことで飽々あき/\してゐるよ。借りた金は返さなきやならないし、時分どきになれば腹は減るし、遊んでばかりゐると、女房は良い顏を