風来坊ふうらいぼう)” の例文
普通の人間以外の心理作用を有するかと怪まるる風来坊ふうらいぼうが飛び込んで来たので少々その突然なるに面喰めんくらっているところである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いやいや、それはお前の考えちがい。……叔父はな、おれを風来坊ふうらいぼう大痴おおたわけだと思っている。……興ざめさせるのもおかげがねえでな。……これも、叔父孝行のうちだ」
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
わたしが下総しもうさの店から東京へ帰って、浅草あさくさ三谷堀さんやぼり、待乳山のすそに住っていたころで、……それにしても八人のうちでわたし一人が何んの仕事も持たない風来坊ふうらいぼうだったから
左官武者修行むしゃしゅぎょうの格で諸国を流れている風来坊ふうらいぼうが、こて一つどんぶりへ呑んで他流試合の気で飛び込んで来たり、または遠国から仲間の添え状を持って思いがけない弟子入りが来たりするので、母の死んだあと
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
みすみす旅の 風来坊ふうらいぼう
魔法の笛 (新字新仮名) / ロバート・ブラウニング(著)
迷亭が無暗に風来坊ふうらいぼうのような珍語をはさむのと、主人が時々遠慮なく欠伸あくびをするので、ついに中途でやめて帰ってしまった。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)