願上候ねがいあげそうろう)” の例文
落花繽紛ひんぷんとして屋台の内部にまで吹き込み、意気さかんの弓術修行者は酔わじと欲するもかなわぬ風情、御賢察のほど願上候ねがいあげそうろう
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
一枚は警視庁の高田たかだ警部の名刺で、「東洋真珠商会主下村豊造しもむらとよぞう氏貴下に御依頼の件あり参上仕るべく何分よろしく願上候ねがいあげそうろう
真珠塔の秘密 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「朱泥は呈上可仕候つかまつるべくそうろう唐墨の方は進呈致兼候いたしかねそうろうあいだ存分ぞんぶん試用の後御返送を願上候ねがいあげそうろう」というのである。当然のことである。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
封入の金子きんす、貴殿俸給の内渡うちわたし有之これあり候間そうろうあいだ御査収願上候ねがいあげそうろう
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お正月用のもち塩引しおびき、一包、キウリ一たるお送り申し上げましたところ、御手紙にれば、キウリ不着の趣き御手数ながら御地停車場を御調べ申し御返事願上候ねがいあげそうろう、以上は奥様へ御申伝え下されたく
帰去来 (新字新仮名) / 太宰治(著)