頸珠くびだま)” の例文
殊にこの若い女は、きらびやかな頸珠くびだまや剣を飾っているだけに、余計人間離れのした、山媛やまひめのような気がするのであった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
頸珠くびだまの色、耳環みみわの光、それから着物の絹ずれの音、——洞穴の内はそう云う物が、榾明ほたあかりの中に充ち満ちたせいか、急に狭くなったような心もちがした。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その拍子ひょうし頸珠くびだま琅玕ろうかんが、かすかに触れ合う音を立てた。彼はこの子供のような、いやと云う返事の身ぶりを見ると、我知らず微笑が唇にのぼって来ずにはいられなかった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)