頭痛膏ずつうこう)” の例文
こめかみに頭痛膏ずつうこうを貼ったばあさんの顔が、長火鉢の向うにのぞかれた。「あいよ」はこのばばあの声だったのかと見たとき、障子がぴしゃりとしめられた。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
と言うなりに、こめかみの処へ頭痛膏ずつうこうった顔をって、年増が真先まっさきに飛込むと、たちまち、崩れたように列が乱れて、ばらばらと女連おんなれんが茶店へ駆寄る。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と奥さんは頭痛膏ずつうこうを張った顳顬こめかみをピク/\動かした。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ああ、それも夢のような——この日、午後四時頃のまだ日盛ひざかりに——きにここで休んだ時——一足おくれて、金沢の城下の方から、女たち七人ばかりを、頭痛膏ずつうこうった邪慳じゃけんらしい大年増と
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)