頓痴奇とんちき)” の例文
おえねえ頓痴奇とんちきだ、坊主ぼうずけえりの田舎漢いなかものの癖に相場そうば天賽てんさいも気がつええ、あれでもやっぱり取られるつもりじゃあねえうち可笑おかしい。ハハハ、いいごうざらしだ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
こんな無分別な頓痴奇とんちきを相手にしては吾輩の顔に係わるのみならず、引いて吾輩の毛並に関する訳だ。いくら、むずむずしたって我慢するよりほかに致し方はあるまい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この頓痴奇とんちきめッ! うぬみてえな野郎がいるから、どこへ行ってもお艶さんが苦労をするんだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
神楽かぐら素盞鳴命すさのおのみことが着そうなインバネスというものを着て威張って歩く野郎も、阿呆鳥の羽を首輪にして得意がっている頓痴奇とんちきも、乃公が此れから火事の真似をしようとは夢にも知るまい。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)