韓紅からくれない)” の例文
同時に、湖面の一点に、ざんぶと音がして、そのあたり一面に水煙が立ったかと見ると、漣々れんれんとして、そこに波紋が、韓紅からくれないになってゆく異様の現象が起りました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鍵屋の一群ひとむれはこれを見て棄て置かれず、島野に義作がついて店前みせさきへ出向いて、と見ると、多磨太は半面べとり血になって、頬から咽喉のどへかけ、例の白薩摩しろさつまの襟を染めて韓紅からくれない
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
花にはあらず七重八重、染めかさねても、もみじ衣の、はだに冷き、韓紅からくれない
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
既に遅矣おそし、雪の姿も、紅梅も、狼藉ろうぜきとして韓紅からくれない
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)