青縞あおじま)” の例文
大きい銀杏いちょうの木が五六本、その幹と幹との間にこれから織ろうとする青縞あおじまのはたをかけて、二十五六のくし巻きの細君が、しきりにそれをていた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
彼の酒窶さけやつれのある苦ッぽい顔や、頭の大きさに比較して細いまげや、こげ茶の絹の羽織や、青縞あおじまの何時も書画会につけて出るはかまや、何気ない風采を作っている箇々のもの迄が、みな
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
学校から村を抜けて、発戸ほっとに出る。青縞あおじまを織るはたの音がそこにもここにも聞こえる。色の白い若い先生をわざわざ窓から首を出して見る機織女はたおりおんなもある。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
その間に青縞あおじまいちのたつ羽生はにゅうの町があった。田圃たんぼにはげんげが咲き、豪家ごうかの垣からは八重桜が散りこぼれた。赤い蹴出けだしを出した田舎いなかねえさんがおりおり通った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)